水素の作用について

水素酸素吸入は中国で新型コロナウイルス(COVID-19)の治療にも使われています。中華人民共和国国家衛生健康委員会(NHC)はガイドライン第七版で電気分解式水素酸素発生器を使った水素酸素吸入(水素66.66%/酸素33.33%)を標準治療に組み込んおり、重症者の症状を和らげる一定の効果を発揮しているとの報告が出ています。

医療分野で水素の効果を示す各種報告のリンク

注目される水素の力 その1: 抗酸化力

酸素は生命に欠かせませんが、体内では反応性の高い各種の活性酸素が生成されています。近年、病気や老化の原因として、それら活性酸素の中のヒドロキシルラジカルやペルオキシナイトライトが関わっていることがわかってきました。これらの悪玉活性酸素が、健康な細胞を酸化させたり遺伝子を傷つけたりするのです。

一方、水素分子H2(以下、水素)には優れた選択的抗酸化作用があり、善玉の活性酸素には作用せず、このヒドロキシルラジカルやペルオキシナイトライトという悪玉活性酸素のみと選択的に結合して水となり無毒化します。その結果、酸化による体内の炎症を抑制する効果もあります。この水素の抗酸化作用や抗炎症作用を健康維持に役立てる研究が進んでいます。

①悪玉活性酸素だけ取り除く
水素は善玉活性酸素には反応せず悪玉活性酸素だけに反応し、無害な水となり体外へ排出されます。つまり身体にいいものはそのまま、悪いものだけを無くすことができます。

②画期的な抗酸化物資
水素は宇宙一小さな分子といわれており、身体の隅々まで行き届きます。ビタミンC・E、ポリフェノールなどの抗酸化物質は作用しすぎると善玉活性酸素まで攻撃してしましますが、水素は悪玉活性酸素だけに反応する大変画期的な抗酸化物質です。

水素は人の腸内でも生成されている安全な物質ですが、水素を外部から体内に取り込む方法には、水素を水に溶かした水素水を摂取する方法や、水素ガスを発生させて吸入する方法などがあります。水素ガス吸入は水素水摂取に比べて単位時間あたりに圧倒的に多量の水素を体内に取り込むことができます。

注目される水素の力 その2: ミトコンドリアの活性化

人の体は約60兆個の細胞から成り立っているといわれます。細胞の中には「ミトコンドリア」という重要な器官があり、食事や呼吸で得た糖分や酸素から、我々が生存する為に必要なエネルギーを生み出していて、エネルギーの生産工場とも呼ばれます。水素を吸入すると、このミトコンドリアが活性化して細胞が元気になることが知られています。ミトコンドリアが活性化すると免疫細胞の樹上細胞やキラーT細胞なども活性化しますので免疫力が向上するという報告も出ています。

注目される水素の力 その3: 血流改善

血管の一番内側にある内皮細胞には、血流が速くなると血管拡張物質である一酸化窒素(NO)を生成し放出する機能があります。しかし、老化するとこの機能が弱って血管が拡がらなくなり動脈硬化の原因にもなります。水素を投与すると内皮細胞の一酸化窒素生産力が向上して血管が拡張し血流が良くなることが知られています。水素を吸うと体がポカポカしてくるとか、水素を吸い始めてから冷え性が改善したという声が多く寄せられています。

水素吸入療法は、厚生労働省から先進医療Bの認可を受け研究が進められた

水素吸入療法は、厚生労働省から先進医療Bとしての認可を受け、慶應義塾大学医学部を中心に重篤な脳疾患および循環器疾患への適用などの臨床試験が行われました(2022年3月23日に終了)。

先進医療とは、一般の保険診療で認められている医療の水準を超えた最新技術として承認された医療行為のことです。先進医療技術審査部会によって、有効性・安全性・必要性などが厳しく審査され承認されます。特に先進医療Bは「医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるもの」という厳しい基準のもと審査されています。